読み物

ポロネーズとアリア(「会報すいそうがく」より)

 普通ポロネーズというと、ゆったりとした優雅なイメージや、紳士淑女が手を取り合って踊るイメージなどがあると思いますが、このポロネーズは違います。テンポが速く、荒々しく、何だか落ち着かないです。中にはボレロ色の強い3連符も見られ、「一体どこがポロネーズ?」「なぜアリアとセットで?」と思われても仕方ありません。それは、この曲を書いている最中に、正義・勇気・恵愛・慈悲・希望・平和など、現代社会への様々な思いを巡らせる機会が多かったからだと思います。

 今、世界を見渡すと、あまりにも多くのことが立て続けに起きていて、ついていくだけで精一杯に感じることが多くなりました。時代は、先行きが不透明で、予測は困難。人々の価値観は多様化を超え、ある種の転換点を迎えているようです。ですが、たとえどんなに時代が変化しても、前述のような事柄の本質というのは、時代とともに変化することはありませんし、変化させてはいけないものです。

 そんな思いを音楽に乗せて表現したいという気持ちが、この曲を書くきっかけでした。ですが、説教じみた音楽にはしたくありません。そこで色々と考え、古典派〜ロマン派のヨーロッパ音楽にたどり着きました。特に、ポロネーズやボレロ、マズルカ等に代表される3拍子の音楽。また、オペラアリアの名曲の数々。ある時は人々が手を取り合って踊る音楽だったり、ある時は祈りの歌だったり。様々な曲を鑑賞したり演奏したりしました。最終的にポロネーズとアリアに的を絞り、これを私の愛する吹奏楽で表現できないかと考えました。そして、前述のような思いが奏者や聴衆に自然と伝わるような音楽にしよう、という思いで完成させました。

 エールマーチに比べると難易度が高く、短い練習時間で取り組んでいる学校・団体には申し訳なく思います。しかしながら、演奏後の達成感や充実感はエールマーチの何十倍、何百倍もあるはずです。どうぞ多くの学校・団体にチャレンジしていただきたいと願っております。